厚生労働省は、ケアマネジャー（介護支援専門員）の資格更新制を廃止する方針を固めました。
これは、介護現場の負担軽減と人材確保を目的とした大きな制度改革です。
2025年10月27日に開催された社会保障審議会・介護保険部会で提案され、大筋で了承を得たことで、来年の通常国会に提出される介護保険法改正案に盛り込まれる見通しです。
ケアマネジャー資格の更新制とは？
これまでケアマネジャーは、一定期間ごとに研修を修了することで資格を維持する「更新制」が採用されていました。
これは専門職としての知識や技能を継続的に高めるための仕組みでしたが、現場では「研修の負担が大きい」「人材確保が難しい」といった声が上がっていました。
今回の方針では、資格の更新という概念そのものを廃止し、研修を修了しなくても資格が失効しない仕組みへと転換されます。
研修義務は残るが、柔軟な運用へ
更新制の廃止と同時に、一定の研修受講は法令上の義務として残す方向で検討が進められています。
厚労省は「専門職としての継続的な学びの重要性は変わらない」としつつ、研修の時間を可能な限り短縮し、オンデマンド化によって個々のケアマネジャーが自由なタイミングで受講できるようにする方針です。
これにより、現場の業務と両立しやすくなり、研修のハードルが下がることが期待されます。
ただし、懸念点もあります。
研修受講の義務が残ってしまっては意味がないのではないか、という点です。
これについては国もどう運用していくのかの見通しを立てていただく必要があります。
事業者への対応要請と報酬制度の見直し
ケアマネジャーが研修を受けやすい環境を整えるために、居宅介護支援事業所や介護施設などの運営事業者に対して、必要な対応を求める方針も示されました。
具体的には、サービスの運営基準や介護報酬の加算・減算の見直しなどが検討されており、次回の介護報酬改定における重要な論点となる見込みです。
事業者側の理解と協力が不可欠であり、制度の実効性を高めるためには、現場の声を反映した柔軟な運用が求められます。
まとめ：制度改革の意義と今後の課題
今回の更新制廃止は、ケアマネジャーの負担軽減と人材確保を目的とした前向きな改革です。
関係団体の長年の働きかけが実を結んだ形ですが、施行時期はまだ未定であり、各都道府県の状況を踏まえた準備が必要です。
研修制度の見直しや事業者への対応要請など、今後の詳細設計が制度の成否を左右します。
介護現場の声を丁寧に拾い上げながら、より持続可能な仕組みへと進化させていくことが求められます。
なお、制度改正に伴う実務への影響や対応について不安を感じる方も多いかもしれません。
制度の詳細や現場での対応については、専門家への相談を通じて早めに情報を整理しておくことをおすすめします。