【速報】令和7年度補正予算「介護職員賃上げ・職場環境改善支援事業」の実務ポイント ――介護保険最新情報Vol.1462(2025年1月21日発出)より読み解く

2025年1月21日、厚生労働省老健局より発出された「介護保険最新情報Vol.1462」では、令和7年度補正予算に基づく「介護職員賃上げ・職場環境改善支援事業」の詳細が示されました。

本事業は、介護現場の人材確保と定着促進を目的に、令和7年12月から令和8年3月までの賃金改善や職場環境整備に対する補助金を交付する緊急支援策です。

 

本稿では、介護事業者が本事業を活用するうえで押さえておくべき実務ポイントを、コンサルタントの視点から解説します。

■ 1. 制度の趣旨とスケジュールの緊急性

本事業の最大の特徴は、「可能な限り速やかに賃上げを実施すること」が求められている点です。

原則として、令和7年12月から賃金改善を開始し、令和8年3月末までに実施することが推奨されています。

 

ただし、実務上は給与計算の締め日やシステム改修の都合により、即時対応が難しいケースも想定されます。

そのため、法人内で「遡及支給とするか」「一時金で対応するか」など、支給方法の方針決定を早急に行う必要があります。

■ 2. 対象職員の範囲と配分戦略

本事業では、介護職員だけでなく、事務職や法人本部職員も対象に含めることが可能です。

対象となるのは、介護サービス事業所で業務に従事していると判断できる職員であり、以下のような職種が例示されています。

 

・介護職、看護職、リハビリ職、相談員、ケアマネジャー

・管理栄養士、調理員、事務職、法人本部の人事・事業部職員など

 

ただし、補助金の対象外となっている事業所の職員は含めることができません。

 

配分にあたっては、一律支給とするか、職種や役割に応じて傾斜をつけるかは法人の裁量に委ねられています。

バックオフィスを含めた一体感を醸成するためにも、「チームケア」の視点での配分設計が望まれます。

■ 3. 補助金の使途と注意点:ハードウェア購入は対象外

補助金の使途は、「賃金改善経費」と「職場環境改善経費」に大別されます。

このうち、職場環境改善経費として認められるのは以下のような費用です。

 

・介護助手等の募集にかかる求人広告費、人材紹介手数料

・職場環境改善に資する研修費(業務改善、マネジメント、ICT活用など)

・専門家の派遣費用、会議費、委員会運営費など

 

一方で、PCやタブレット、介護ロボットなどのハードウェア購入費用は対象外です。

これは、介護テクノロジー導入支援事業など、他の補助金との役割分担が明確にされているためです。

■ 4. 実績報告とコンプライアンス対応

補助金を受給した事業所は、実績報告書の提出と根拠資料の保管(2年間)が求められます。

報告時にすべての資料を添付する必要はありませんが、都道府県からの求めに応じて速やかに提出できるよう、以下の資料を整備しておくことが重要です。

 

・賃金改善の実施を証明する賃金台帳、支給明細、計算根拠

・処遇改善加算の計画書、就業規則、研修計画書

・ケアプランデータ連携システムの使用画面のスクリーンショット

・社会福祉連携推進法人の認定申請書、体制届出書など

 

特に注意すべきは、「賃金改善額 ≧ 補助金の賃金改善区分総額」であることを証明する必要がある点です。

法定福利費の事業主負担分も含めて、確実に職員へ還元されていることを示す準備が求められます。

■ 5. 制度を活かした人材確保と職場改革へ

本事業は、単なる一時的な賃上げ支援ではありません。

「働きやすい職場環境づくり」への投資機会として捉えることが、今後の人材確保・定着に直結します。

 

・採用活動の強化(介護助手の募集)

・業務改善やマネジメント研修の実施

・チームビルディングや役割分担の見直し

 

こうした取り組みを通じて、「選ばれる職場」「辞めない職場」への転換を図ることが、経営者・管理者に求められる視点です。

■ まとめ:制度の理解と戦略的活用がカギ

「介護職員賃上げ・職場環境改善支援事業」は、現場の処遇改善と職場改革を同時に進めるチャンスです。

厚生労働省老健局「介護保険最新情報Vol.1462(2025年1月21日発出)」を正しく理解し、制度の趣旨に沿った戦略的な活用が求められます。

 

コンサルタントとしては、制度の解釈だけでなく、現場の実情に即した実行支援と、報告・管理体制の整備支援が重要な役割となります。

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