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先日、政府が今後の経済財政運営の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針2025」、通称「骨太の方針」を閣議決定しました。一見すると、私たちの日々の現場とは少し距離のある話に聞こえるかもしれません。しかし、この中には、今後の介護業界の動向、特に職員の処遇改善や事業経営の未来を占う、極めて重要なメッセージが込められています。
今回はこの「骨太の方針」から、私たち介護事業者が特に注目すべきポイントを読み解いていきます。
◆明確に示された「公定価格の引上げ」という方向性
今回の骨太の方針で最も注目すべきは、介護分野の人材確保と賃上げに対する政府の強い意志が示された点です。
資料の中では、物価上昇を上回る賃上げを実現するため、「公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める」と明確に記されています。これは、介護報酬を引き上げることで、事業者が職員の給与を上げるための原資を確保できるよう、国が後押しするという意思表示に他なりません。
さらに、「2025年春季労使交渉における賃上げや物価上昇の影響について、的確な対応を行う」とも言及されています。この「的確な対応」が具体的に何を指すのか、多くの事業者が固唾を飲んで見守っていますが、状況に応じた期中改定(通常の3年ごとの改定を待たずに行う臨時の報酬改定)への期待が高まる、非常に重要な一文です。
◆2040年を見据えた「持続可能な体制」への改革
賃上げという短期的な課題への対応と同時に、政府は2040年頃の高齢者人口のピークを見据えた、中長期的な改革の必要性も強調しています。
その柱となるのが、「生産性の向上」です。具体的には、介護DXやテクノロジー、ロボットの導入を促進し、職員の負担を軽減すること。そして、事業者間の連携や協働化・大規模化を進めることで、経営基盤を安定させることを目指しています。
これは、国からの「ただ報酬改定を待つだけでなく、事業者自身も変化に対応し、経営努力を重ねてほしい」というメッセージとも受け取れます。これからの介護経営は、質の高いケアの提供はもちろんのこと、いかに効率的で持続可能な運営体制を構築できるかが、生き残りの鍵となりそうです。
◆変化の時代を乗り越えるために
今回の政府方針は、財源の問題で常に後回しにされがちだった介護業界の処遇改善に、国が本腰を入れ始めた証と言えるでしょう。これは私たちにとって、間違いなく大きな希望です。
しかし、それは同時に、業界全体が大きな変革の時代に突入したことも意味します。 報酬改定の動向を注視しつつ、日々の業務改善や生産性向上、そして職員が安心して働き続けられる環境づくりに、これまで以上に取り組んでいく必要があります。
国の大きな方針を、自社の具体的な経営戦略にどう落とし込んでいけば良いのか。職員の処遇改善と、将来を見据えた設備投資のバランスをどう取るべきか。もし、そうした経営の舵取りにお悩みでしたら、どうぞお気軽にお声がけください。この変化の波を共に乗り越えるパートナーとして、私たちが伴走いたします。




 
