【連載コラム③】“AIとともに働く”介護現場へ――導入のステップと現場での工夫

介護現場におけるAI活用は、もはや“未来の話”ではなく、現実の選択肢となりつつあります。

しかし、「導入したけれど使いこなせない」「現場が混乱した」という声も少なくありません。

 

今回は、AIを現場に“根づかせる”ためのステップや、活用時の注意点について整理してみたいと思います。

■ 導入の第一歩は「目的の明確化」から

AIを導入する際に最も大切なのは、「何のために使うのか?」を明確にすることです。

たとえば、「記録業務の負担を減らしたい」「夜間の見守りを強化したい」など、現場の課題を具体的に言語化することで、 導入すべきツールや機能が見えてきます。

 

また、導入を“現場任せ”にせず、経営層がビジョンを示し、職員と一緒に考える姿勢が求められます。

「現場の声を聞きながら進める」ことが、スムーズな定着のカギになります。

■ 小さく始めて、チームで育てる

AIの導入は、一気に全体へ広げるのではなく、まずはトライアル導入から始めるのが効果的です。

たとえば、1つのユニットやチームで試験的に使ってみて、使い勝手や課題を洗い出し、改善を重ねていく。 そのプロセス自体が、現場の理解と納得を深める機会になります。

 

また、ICTリーダーのような“推進役”を育てることも重要です。

「誰に聞けばいいか分かる」「困ったときに相談できる」存在がいるだけで、現場の安心感は大きく変わります。

■ 利用者・家族への説明も丁寧に

AIを活用する際には、利用者やご家族への説明も欠かせません。

「記録にAIを使っています」「見守りセンサーを導入しています」といった情報を、 わかりやすく、安心感を持って伝えることが信頼関係の維持につながります。

 

特にプライバシーや個人情報の取り扱いについては、丁寧な説明と同意の取得が必要です。

「便利さ」と「安心感」のバランスを大切にしたいところです。

■ 活用時の注意点――“人の目”を手放さない

AIは便利なツールですが、すべてを任せきりにするのは危険です。

たとえば、センサーが異常を検知しなかったからといって、安心しきってしまうと、見逃しや事故につながる可能性もあります。

 

AIの判断はあくまで“補助的な情報”であり、最終的な判断は人が行うべきです。

「AIがこう言っているけれど、実際に見て・聞いて・感じてどうか?」という“人の目”を持ち続けることが、 安全で信頼されるケアにつながります。

■ まとめ:“使いこなす力”が未来をつくる

AIを導入すること自体が目的ではなく、それをどう使いこなし、現場の力に変えていくかが問われています。

制度や技術の進化に振り回されるのではなく、「現場のために、利用者のために」主体的に選び、育てていくことが大切です。

 

“AIとともに働く”介護現場は、すでに始まっています。

これからの時代、変化を恐れるのではなく、チームで学び合いながら、より良いケアの形をつくっていきましょう。