皆さん、こんにちは!
「うちは真面目にやっているから大丈夫」――。
訪問看護ステーションに関わる皆様の中に、もしそう考えている方がいらっしゃるようであれば、少し立ち止まる必要があるかもしれません。
厚生労働省と都道府県が連携して行う「共同指導」のあり方が、今まさに変化の時を迎えています。
これは、すべての訪問看護ステーション経営者が知っておくべき、新たな運営基準の幕開けです。
3回にわたる本連載の初回は、この「共同指導」がどのような目的で行われ、どのような基準で対象事業所が選定されるのか、その核心に迫ります。
なぜ今、「共同指導」が強化されるのか?
共同指導の目的は、一言で言えば「効果的かつ効率的な指導の実施」です。
背景には、訪問看護サービスの需要増に伴う事業所の急増と、それに伴うサービス内容や請求事務の多様化があります。
国として、提供されるサービスの質と費用の適正性を、より高い精度で確認する必要に迫られているのです。
これは、決して性悪説に立った締め付けではありません。
むしろ、地域に不可欠な在宅医療の担い手である訪問看護ステーションが、健全な運営基盤のもとで持続的に成長していくための、国からのメッセージと捉えるべきでしょう。
データが語る「選定基準」の現実
では、具体的にどのような事業所が指導の対象として選ばれるのでしょうか。
通知には、注目すべき3つの基準が示されています。
1.過去の指導歴やサービス内容を考慮した選定
2.訪問看護レセプトの請求状況が「大きい」事業所
3。その他、特に共同指導が必要な理由がある事業所
特に経営者が注目すべきは、2番目の「請求状況が大きい」という点です。
これは、レセプトの平均額と平均件数を掛け合わせた値が大きい事業所、つまり売上規模が大きい事業所が候補になることを意味します。
もはや「運悪く当たった」という時代ではありません。
事業規模や請求データに基づき、候補が客観的にリストアップされるのです。
もちろん、過去4年以内に指導や監査を受けている事業所や、月の請求件数が30件未満の小規模事業所は対象から除外されるといった基準もあります。
しかし、基本的には「データに基づいて選ばれる」という事実から、目をそらしてはいけません。
次回は、指導対象となった際に求められる「準備」の過酷な実態、そして日頃から何をすべきかについて、具体的に掘り下げていきます。
訪問看護ステーションの立ち上げを検討しているが、将来の指導が不安な方。
日々の請求業務が適正か、客観的な視点で確認したい方。今回の通知を受け、自社の運営体制を見直したいと考えている方。
変化の時代を乗り切るためには、専門的な知見が不可欠です。私どもは、皆様の事業運営を力強くサポートします。
(出典)
厚生労働省「令和7年度に実施する指定訪問看護事業者等に対する 共同指導に係る取扱いについて」
https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/tuuti1976-1.pdf
厚生労働省「指定訪問看護事業者等に対する高額を理由とする 都道府県個別指導の取扱いについて」
https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/tuuti1976-2.pdf




