
2026年診療報酬改定において、訪問看護の「基本報酬」が大きく見直される方針が示されました。
物価高騰や人件費上昇への対応、サービスの質の確保、そして効率的な運営体制の構築――
経営者・管理者にとって、今回の改定は“収益構造の再設計”とも言える重要な転換点です。
本稿では、訪問看護管理療養費の再編や新設される加算の概要を整理しながら、 訪問看護ステーションの収益シミュレーションに役立つ視点をお伝えします。
① 訪問看護管理療養費が再編!初日・2日目以降の評価体系とは
今回の改定で最も大きな変更のひとつが、訪問看護管理療養費の再編です。
● 初日の「機能強化型訪問看護管理療養費」が引き上げ
初回訪問に対する評価が強化され、 地域で重度者を受け入れるステーションの役割がより明確に評価される方向となりました。
● 管理療養費1・2が統合され、新たな区分へ
従来の「1・2」という区分は廃止され、 訪問回数と同一建物居住者数(20人未満/20〜49人/50人以上)に応じた体系へ再編。
これにより、同一建物への訪問が多いステーションや、訪問回数が多いステーション では、報酬の増減がより明確に分かれることになります。
● 同一建物居住者への報酬が細分化
「同一建物」の定義に“同一敷地内”も含まれるようになり、 訪問時間の要件や算定ルールが厳格化されます。
効率化を促す一方で、 短時間訪問の扱いが厳しくなるため、収益構造の見直しが不可避です。
② 「訪問看護物価対応料」が新設!物価高騰への段階的支援
物価高騰が続く中、訪問看護ステーションの経営を支えるために 「訪問看護物価対応料」が新設されます。
● 食材料費・光熱水費などの高騰を補填
訪問看護の提供に欠かせない「光熱水費」「消耗品」「食材料費(在宅療養者の調理支援等)」 の高騰に対して、一定の補填が行われます。
● 令和8年度・9年度にかけて段階的に導入
2年間の時限措置として導入されるため、 短期的な収益改善策として位置づける必要があります。
● 実務上の留意点
・加算取得の要件確認
・物価高騰の影響を受ける費目の整理
・収益への反映時期の把握
経営者としては、キャッシュフローへの影響を早期に試算することが重要です。
③ ベースアップ評価料の見直しと夜勤手当への活用
人材確保が難しい訪問看護において、 賃上げを継続的に行うステーションを評価する仕組みが強化されます。
● 継続的な賃上げ実施ステーションへの加算強化
賃上げを実施している事業所と、そうでない事業所の評価が明確に分かれ、 人材定着に向けた取り組みが報酬に反映される仕組みとなります。
● 夜勤手当への活用が可能に
訪問看護師の負担が大きい夜間対応に対し、 ベースアップ評価料を夜勤手当の増額に充てることが可能となりました。
● 人材確保・定着の観点からの注目ポイント
・夜間対応の負担軽減
・給与体系の見直し
・採用力の向上
訪問看護の“働きやすさ”を高めるための重要な改定です。
④ 収益シミュレーションの視点――経営者が今から準備すべきこと
今回の改定は、 「どの利用者に、どの時間帯に、どの建物へ訪問するか」 によって収益が大きく変わる可能性があります。
● 改定後の報酬体系に基づく収益予測が必須
・訪問回数
・同一建物居住者数
・加算取得状況
これらを組み合わせた収益シミュレーションが欠かせません。
● 収益構造の再設計
・短時間訪問の扱い
・同一建物への訪問戦略
・夜間対応の体制
・人員配置の最適化
訪問看護ステーションの経営は、 “量”から“質と効率”へと舵を切る時代に入ります。
◆ まとめ
2026年診療報酬改定は、訪問看護にとって 「基本報酬の再編」=経営の再設計を迫る大きな転換点です。
・管理療養費の再編
・物価対応料の新設
・ベースアップ評価料の見直し
・同一建物訪問の適正化
これらの変化を正しく理解し、 早期に収益シミュレーションを行うことが、経営安定の鍵となります。




