訪問看護ステーションは、在宅医療の要として地域包括ケアを支える重要な存在です。
しかし近年、「赤字が続いている」「訪問件数は増えているのに利益が出ない」といった声が多く聞かれるようになりました。
特に中小規模のステーションでは、収益構造の見直しが急務となっています。
本コラムでは、訪問看護ステーションが安定した経営を実現するための視点と、実践的な改善ポイントを整理します。
1. 訪問単価と加算の見直し
訪問看護の報酬は、基本報酬に加えて各種加算で構成されています。
ところが、加算の取得漏れや要件未達によって、本来得られるはずの報酬を逃しているケースも少なくありません。
・特別管理加算や緊急時訪問加算など、取得可能な加算を定期的にチェック
・医療機関との連携体制を整え、医師指示書の内容を加算要件に照らして確認
・記録の整備とタイミング管理により、算定漏れを防ぐ
加算は“取りに行く”意識が重要です。
制度の理解と運用の工夫が、収益改善の第一歩となります。
2. 移動時間の管理と効率化
訪問看護は、移動時間が業務時間の大きな割合を占めます。
移動距離が長い・訪問先が分散しているといった状況では、看護師の稼働効率が低下し、収益性が悪化します。
・訪問ルートの最適化(地図アプリや訪問支援ソフトの活用)
・曜日ごとの訪問エリアの固定化による移動時間の削減
・同一地域での利用者獲得を意識した営業活動
移動時間の“見える化”と“戦略的配置”が、看護師の稼働率向上と収益改善につながります。
3. 記録業務とICT活用による業務効率化
訪問後の記録業務は、看護師の負担となりがちです。手書きや紙ベースの記録では、時間がかかるうえに情報共有も非効率です。
・電子カルテや訪問看護専用アプリの導入
・音声入力やテンプレート活用による記録時間の短縮
・リアルタイム共有による事務スタッフとの連携強化
ICTの活用は、単なる業務効率化にとどまらず、記録の質向上や加算取得の精度向上にも寄与します。
4. 看護師の稼働率と人件費のバランス
訪問看護ステーションの収益構造は、看護師の稼働率と人件費のバランスに大きく左右されます。
訪問件数が少ないと、固定人件費が重くのしかかり、赤字に転落するリスクが高まります。
・稼働率の定期的なモニタリングと目標設定
・非常勤スタッフの活用による柔軟な人員配置
・訪問件数に応じたインセンティブ制度の導入
“人を増やす”よりも、“人を活かす”運営が、持続可能な経営の鍵となります。
まとめ:収益構造の見直しは“経営の見える化”から
訪問看護ステーションの収益改善には、制度理解・業務効率化・人材活用・ICT導入など、複数の視点が必要です。
まずは現状の収益構造を“見える化”し、どこに改善余地があるかを把握することが第一歩です。
もし「何から手をつければいいか分からない」「収益改善の具体策を知りたい」と感じたら、外部の専門家と連携しながら、実践的な改善策を検討することをおすすめします。




