
令和7年10月27日に開催された「第127回社会保障審議会介護保険部会」において、要介護1・2の方への生活援助サービスを市区町村の地域支援事業(総合事業)へ移行する案は、次回改定への盛り込みを見送る方針が示されました。
これは現場の声を反映した慎重な判断といえますが、今後も継続審議される可能性が高く、予断は許されません。
以下、部会で出席委員から寄せられた意見(スライド)になります。

1. 認知症の方への支援は“生活援助”が鍵
審議会では、認知症を有する要介護1・2の方にとって、訪問介護や通所介護などの生活援助サービスが生活維持に不可欠であるとの意見が多数示されました。
・身体的に元気な認知症の方ほど、家族の負担が大きくなる
・生活援助サービスがなければ、状態悪化や重度化のリスクが高まる
・専門的な知識・技術が必要な認知症ケアは、地域支援事業では対応困難
こうした背景から、「介護保険給付として死守すべき」との強い主張がなされました。
2. 総合事業の整備はまだ途上
前回の制度改正で総合事業は使いやすく見直されましたが、自治体による整備はまだ途上であり、全国的な構築状況は不十分です。
・実施市町村数・事業所数の推移はほぼ横ばい
・地域間格差が大きく、サービスの質・量にばらつきがある
・事業者の力量や専門性が未知数で、在宅ケアの質低下が懸念される
このまま移行すれば、供給量不足やサービスの質の低下を招く可能性が高いと指摘されています。
3. 自立支援と重度化防止の観点からも慎重な検討を
要介護1・2の方は、要支援者とは状態像が大きく異なり、認知機能の低下により、介護給付サービスがなければ自立生活が困難です。
・総合事業への移行で専門サービスが受けられなくなる
・自立支援が阻害され、重度化を招くおそれ
・効果検証が不十分なままの移行は、時期尚早
特に認知症ケアでは、早期の関わりが重要であり、サービスの質を維持するためにも、慎重な制度設計が求められます。
まとめ:見送りは一時的の可能性あり!今後の議論に備えた準備を
今回の見送りは、現場の声が反映された重要な判断ですが、制度改定の議論は今後も続きます。
地域支援事業への移行が再び俎上に載る可能性もあるため、事業者・自治体・関係者は継続的な情報収集と対応準備が不可欠です。
もし、「自事業所としてどのように備えるべきか」「制度の動向をどう捉えるべきか」といった不安がある場合は、専門家への相談を通じて、冷静かつ実践的な対応策を検討することをおすすめします。
(参考URL)




