
訪問看護師は、利用者宅という「生活の場」でケアを提供します。
そこでは、利用者本人だけでなく、家族、ケアマネジャー、訪問介護員など、さまざまな人との関係性が生まれます。
この関係性の質が、ケアの質を左右すると言っても過言ではありません。だからこそ、訪問看護師には高度なコミュニケーション力が求められます。
その力を育むために、現場の事例をもとにした研修は非常に有効です。以下では、よくある事例と研修のポイントを整理します。
1. よくある事例から学ぶ
●「家族が介護に疲弊しているが、言葉に出さない」
介護を担う家族は、疲弊していても「まだ大丈夫」と言いがちです。
訪問看護師は、表情や態度、言葉の端々からその“サイン”を読み取り、非言語的な情報に敏感になる力を養う必要があります。
研修では、こうした事例をもとにロールプレイを行い、家族の本音に寄り添う対話力を育てます。
●「ケアマネジャーとの情報共有がうまくいかない」
情報共有のタイミングや内容がずれると、支援の方向性に齟齬が生じます。
研修では、「何を、いつ、どう伝えるか」を整理し、他職種との連携を円滑にするスキルを磨きます。
実際の記録や報告書を使った振り返りも効果的です。
●「利用者が看護師を拒否する」
「家に入ってほしくない」「知らない人に触られたくない」といった拒否反応は、訪問看護では珍しくありません。
研修では、利用者の不安や抵抗感に寄り添う姿勢を学び、信頼関係を築くための対話技術を身につけます。
2. 研修のポイント
●相手の立場を理解する
訪問看護師は、利用者や家族の生活背景や心理状態を理解した上で、言葉を選び、態度を整える必要があります。
研修では、共感的理解と状況把握の力を養います。
●明確で分かりやすい言葉で伝える
専門用語や抽象的な表現は、誤解や不安を招くことがあります。
研修では、医療情報を簡潔に、安心感を持って伝える技術を磨きます。
●情報を正確かつ客観的に共有する
訪問看護はチームケアです。情報共有の質が、ケアの質に直結します。
研修では、記録の書き方、報告の順序、伝達のタイミングなどを具体的に学びます。
まとめ:関係性の質を高める“対話力”を育てる
訪問看護師のコミュニケーション研修は、単なる技術習得ではなく、人と人との関係性を築く力を育てる場です。
事例を通じて「伝える力」「聴く力」を磨くことで、利用者・家族・他職種との信頼関係が深まり、より質の高いケアが実現されます。




