
2025年12月25日、厚生労働省より「介護保険最新情報Vol.1454」が発出され、令和7年度に実施される「介護職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」の詳細が明らかになりました。
この事業は、令和8年度の介護報酬改定を待たずに、介護職員の処遇改善を緊急的に進めることを目的としたもので、居宅介護支援事業所も補助対象に含まれています。
本コラムでは、制度の概要と居宅介護支援における実務対応のポイント、そして今後の報酬改定との関係性について整理します。
「賃上げの橋渡し」――制度の背景と目的
今回の支援事業は、他産業との賃金格差による人材不足を背景に、介護職員の処遇改善を早期に実現するための緊急的な措置です。
令和8年度の介護報酬改定を待たず、令和7年度中に補助金を交付し、職員の賃金引き上げを図ることが狙いです。
対象となるのは、処遇改善加算の算定や生産性向上の取り組みを行っている介護サービス事業所であり、交付された補助金は原則として職員の給与引き上げに充てることが義務付けられています。 また、ICT機器の導入や業務の役割分担の明確化など、職場環境の改善に資する経費としても活用が可能です。
この事業は、単なる一時的な支援ではなく、令和8年度の報酬改定に向けた“つなぎ”の役割を果たすものと位置づけられています。
居宅介護支援も対象に――補助要件と留意点
注目すべきは、これまで処遇改善加算の対象外とされてきた居宅介護支援事業所(および介護予防支援)も補助対象に含まれている点です。
交付率は15.0%とされており、その全額が賃金改善経費に充てられます。
ただし、補助を受けるには以下のいずれかの要件を満たす必要があります
・生産性向上・協働化の取組
例:ケアプランデータ連携システムへの加入、社会福祉連携推進法人への所属など
・処遇改善加算Ⅳに準ずる要件
– 任用要件・賃金体系の整備(職位や職務に応じた賃金体系を明文化)
– 資質向上のための研修計画と実施 - 職場環境改善(入職促進、両立支援など)
また、補助金の対象外となるケースとして、以下が明記されています
・令和8年4月以降に新規開設された事業所
・計画書提出時点で廃止・休止が明らかな事業所
このように、補助金の交付には明確な要件と実務対応が求められるため、早めの準備が重要です。
今後の報酬改定と処遇改善加算の行方
現時点で、居宅介護支援は「処遇改善加算対象外サービス」として分類されています。
しかし、今回の通知では、令和8年度の介護報酬改定において「他職種と遜色のない処遇改善に向けた必要な対応を行う」と明記されており、今後の制度設計において居宅介護支援職員の処遇改善が検討される可能性が高いと読み取れます。
今回の補助金は、あくまで「恒久的な仕組みが整うまでの橋渡し」であり、令和8年度以降に何らかの恒常的な処遇改善策が講じられることが期待されます。
なお、補助金の実施主体は都道府県であり、事業所は都道府県に対して改善計画書や実績報告書の提出が求められます。
また、根拠資料の保存期間は5年間とされており、適切な記録管理も重要な実務対応の一つです。
まとめ
令和7年度の「介護職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」は、介護業界の人材確保とサービスの質の維持を目的とした緊急的な支援策です。
特に、これまで処遇改善加算の対象外とされてきた居宅介護支援事業所が補助対象に含まれたことは大きな前進といえるでしょう。
今後の報酬改定に向けて、制度の動向を注視しつつ、現場での実務対応を着実に進めていくことが求められます。
「うちは対象になるのか?」「どのように計画書を作成すればよいか?」といった疑問がある場合は、専門家の支援を受けながら、早めに準備を進めていくことをおすすめします。
【参考URL】




