多職種連携のリアル――訪問看護師が“つなぐ”役割とは?

在宅医療・介護の現場では、医師、ケアマネジャー、リハビリ職、薬剤師、ヘルパーなど、さまざまな専門職が関わり合いながら、利用者の暮らしを支えています。

その中で、訪問看護師は“つなぐ”役割を担う存在として、重要なポジションにあります。

 

本コラムでは、訪問看護師が多職種連携の中で果たす役割や、連携を円滑に進めるための工夫、そして現場で感じる課題について整理してみたいと思います。

■ 訪問看護師は“現場の目”であり“橋渡し役”

訪問看護師は、利用者の生活の場に最も近い医療職として、日々の変化をいち早く察知し、他職種に情報を届ける役割を担っています。

たとえば、体調の変化を医師に報告して受診や処方の調整を依頼したり、ケアマネジャーに生活支援の必要性を伝えたりと、 “現場の目”としての情報を多職種に橋渡しすることが求められます。

 

また、訪問看護師は、医療と介護の両方にまたがる知識と視点を持っているため、 「医療的な判断」と「生活支援の現実」の間をつなぐ存在として、チーム全体の調整役を果たすことも少なくありません。

■ 連携を円滑にするための工夫

多職種連携をスムーズに進めるためには、日々の小さな工夫が大切です。

たとえば、以下のような取り組みが現場で実践されています。

 

・情報共有のタイミングを意識する

→ 医師の診察前に状態変化を伝える、ケアマネのモニタリング前に気になる点を共有するなど、「相手が動く前に情報を渡す」ことで、判断や支援がスムーズになります。

 

・伝え方を工夫する

→ 医師には医学的な視点で、ケアマネには生活や制度の視点で、といったように、相手の専門性に合わせた言葉選びや表現を意識することが、連携の質を高めます。

 

・“顔の見える関係”をつくる

→ 地域の多職種連携会議や事例検討会などに積極的に参加し、日頃から関係性を築いておくことで、いざというときの連携が格段にスムーズになります。

■ “連携疲れ”や“情報の断絶”を防ぐには?

一方で、現場では「連携がうまくいかない」「情報が届かない」といった声も少なくありません。

特に、関係者が多くなるほど、情報の伝達ミスや認識のズレが生じやすくなります。

また、連携のための電話や報告書作成に追われ、「本来のケアに集中できない」と感じる“連携疲れ”も課題の一つです。

 

こうした状況を防ぐためには、以下のような視点が有効です。

 

・「すべてを共有しようとしない」勇気

→ 重要なポイントに絞って伝える、優先順位をつけることで、相手の負担も軽減されます。

 

・ICTの活用

→ 共有アプリやクラウド型記録システムなどを活用することで、情報の一元化やタイムラグの解消が期待できます。

 

・“連携の目的”をチームで共有する

→ 「この人の生活をどう支えるか」という共通のゴールを意識することで、手段としての連携が“目的化”することを防ぎ、チームの方向性が揃いやすくなります。

■ まとめ:訪問看護師は“つなぐ力”のプロフェッショナル

訪問看護師は、単に医療を提供するだけでなく、 多職種の間をつなぎ、チームの動きを調整する“ハブ”のような存在です。

その役割は、制度や地域資源の理解、相手の立場への配慮、そして何より「この人の暮らしを支えたい」という思いに支えられています。

 

2026年の診療・介護報酬改定では、在宅医療・介護の連携強化が引き続き重要なテーマとなる見込みです。

制度の動向を踏まえつつ、現場での実践を言語化し、共有していくことが、より良い連携の土台になるはずです。

 

“つなぐ力”を育てることは、利用者の安心だけでなく、働く私たち自身の負担軽減にもつながります。

これからの訪問看護において、連携の質をどう高めていくか――その問いを、チームで共有していきたいですね。