
訪問看護ステーションの数が年々増加する中で、「どうすれば地域で選ばれる存在になれるのか?」という問いに直面する場面が増えてきました。
制度や報酬の変化に加え、利用者や家族のニーズも多様化する中で、単に「訪問看護を提供しています」というだけでは、選ばれる理由にはなりません。
本コラムでは、訪問看護ステーションが自らの“強み”を言語化し、地域に伝えていくための視点を整理してみたいと思います。
■ 「強み」は“当たり前”の中にある
「うちのステーションの強みって何だろう?」と考えたとき、意外と答えに詰まってしまうことはありませんか?
なぜなら、現場で日々当たり前のように行っていることほど、外から見ると“強み”であることに気づきにくいからです。
たとえば――
・24時間対応の体制がしっかり整っている
・看取りの実績が豊富で、家族支援にも力を入れている
・精神科訪問看護や小児対応など、専門性の高いサービスを提供している
・訪問リハビリや薬剤師との連携がスムーズで、チームケアが機能している
こうした“当たり前”を、あらためて言語化し、誰に・どのように伝えるかを考えることが、地域で選ばれる第一歩になります。
■ “誰に伝えるか”を明確にする
強みを言語化する際に大切なのが、「誰に向けて伝えるのか?」という視点です。
訪問看護の利用を決めるのは、利用者本人だけでなく、家族、ケアマネジャー、医師など、複数の関係者が関わっています。
たとえば――
・ケアマネジャーには、「連携のしやすさ」「報告の丁寧さ」「緊急時の対応力」などが伝わると安心感につながります。
・医師には、「医療的判断の共有」「報告の質」「疾患ごとの対応力」などが信頼構築の鍵になります。
・利用者・家族には、「人柄」「話しやすさ」「生活への寄り添い方」など、感情面での安心感が重視されます。
それぞれの立場に合わせて、伝えるべき“強み”の切り口を変えることが、効果的な情報発信につながります。
■ 言語化から“発信”へ――伝え方の工夫
強みを言語化したら、それをどう発信するかも重要です。
ホームページやパンフレット、SNS、地域の勉強会やケアマネ向けの説明会など、伝える場面は多岐にわたります。
発信の際には、以下のような工夫が効果的です。
・数字で示す:「年間○件の看取り実績」「平均対応時間○分」など、具体的な数値は説得力があります。
・エピソードで伝える:「こんな場面で、こんな支援ができた」という事例は、共感を呼びやすく、印象に残ります。
・職員の声を活かす:「なぜこの仕事を選んだのか」「どんな思いで訪問しているのか」など、職員の言葉は“顔の見える発信”につながります。
また、発信は一度きりではなく、継続的に行うことが大切です。 「伝え続けることで、信頼が積み重なる」――それが、地域で選ばれるステーションづくりの土台になります。
■ まとめ:強みを“見える化”し、伝える力を育てよう
訪問看護の現場には、日々の実践の中にたくさんの“強み”が眠っています。
それを見つけ、言葉にし、伝えることは、単なる広報ではなく、チームの誇りややりがいを再確認する機会にもなります。
2026年の報酬改定を前に、制度や地域のニーズが大きく動く中で、 「私たちは何ができるのか」「どんな価値を提供しているのか」を言語化することは、経営戦略としても重要なテーマです。
“選ばれる理由”は、外にあるのではなく、すでに現場の中にある。 その価値を見つけ、伝える力を育てていきましょう。




