
「20年前と何も変わっていない」―― かつて現場の最前線に立っていた方のこの言葉は、今のケアマネジメントの現状を鋭く突いています。
株式会社エス・エム・エスが2025年に実施した調査では、ケアマネジャーの業務負担が深刻化している実態が明らかになりました。
本稿では、現場の声をもとに、ケアマネジャーが直面する課題と、その背景にある構造的な問題を整理してみたいと思います。
■ 書類と連絡に追われる日々――“本来のケア”が遠のく現実
調査によると、ケアマネジャーが最も負担に感じているのは「書類作成などの事務作業の煩雑さ(62.1%)」です。
特にアセスメントやモニタリングなど、法定業務に伴う帳票作成は年々複雑化しており、利用者や家族と向き合う時間を圧迫しています。
さらに、情報連携の手段としていまだに「電話(95.3%)」「FAX(79.7%)」が主流であることも、業務効率を大きく妨げています。
担当者の不在によるタイムラグや、複数の事業所に同じ内容を繰り返し伝える手間が、ケアマネジャーの時間と精神的余裕を奪っているのです。
■ 見えない仕事、“シャドウワーク”の常態化
もうひとつの大きな負担が、「シャドウワーク」と呼ばれる法定外業務の存在です。
調査では、94.8%のケアマネジャーがシャドウワークに負担を感じており、そのうち半数近くが「とても負担を感じる」と回答しています。
具体的には、介護保険外の相談対応(73.0%)や、安否確認、行政・金融機関での手続き代行など、家族が担うべき役割までケアマネが引き受けているケースが多く見られます。
こうした“善意の延長線上”にある業務が、結果として本来のケアマネジメントを圧迫しているのです。
■ やりがいの喪失と、変革への意志
業務負担の増大は、ケアマネジャーのやりがいにも影を落としています。
自由回答では、「以前は利用者とじっくり話す時間があったが、今は書類に追われている」「やりがいを感じられなくなった」といった声が多く寄せられました。
しかし同時に、現場には「このままでは持続不可能だ」という強い危機感と、変革への意志も芽生えています。
調査では、約9割(91.4%)のケアマネジャーが「一つのツールでリアルタイムに情報共有できれば、精神的・時間的な負担が軽減される」と回答しており、ICT導入への期待が高まっていることがわかります。
■ まとめ:変わらない現実を、変える力は“現場”にある
20年前と変わらない――その現実に愕然としながらも、今こそ変革のチャンスが訪れています。
現場の声が可視化され、技術が進化し、そして「本来のケアに時間を使いたい」という願いが明確になった今、 ケアマネジメントの未来は、現場の手で切り拓かれるべき時を迎えています。
次回は、こうした課題をどう乗り越えるか――ICT導入と介護DXによる具体的な打開策について、現場目線で考えてみたいと思います。
【参考URL】株式会社エス・エム・エス ホームページ




