
介護業界の生産性向上を考えるうえで、ICTや業務改善と並んで欠かせないのが「人材育成」と「チームづくり」です。
どれだけ仕組みを整えても、人が育たなければ現場は回りません。
本稿では、“人が辞めない職場”をつくるための視点と、属人化を防ぎながらチームで支える体制づくりについて考えてみます。
■ 教育と定着は“仕組み”で支える
新人職員が「何をどうすればいいか分からない」と感じる職場では、離職リスクが高まります。
OJT任せの育成ではなく、教育の仕組み化が求められます。
・業務ごとのマニュアルやチェックリストの整備
・ロールプレイやケース検討を取り入れた研修
・定期的な面談やフィードバックの仕組み
こうした取り組みは、職員の不安を減らし、成長実感を得られる環境づくりにつながります。
「育てる文化」が根づくことで、定着率も自然と高まっていきます。
■ 属人化から“チームで支える”体制へ
介護現場では、特定の職員に業務が集中する「属人化」が慢性化しがちです。
「この人がいないと回らない」状態は、業務の継続性や安全性の面でもリスクとなります。
そこで重要なのが、チームで支える体制づくりです。
・情報共有のルールを明確にする
・業務の分担と役割の見直し
・多職種間での相互理解を深める機会の創出
属人化を防ぐことで、誰かが休んでも現場が回る“持続可能なチーム”が育ちます。
■ “人が辞めない職場”が生産性を高める
生産性というと、「効率」や「スピード」が注目されがちですが、介護現場においては「人が辞めないこと」こそが最大の生産性向上につながります。
・採用・育成・引き継ぎにかかるコストの削減
・経験の蓄積によるケアの質の向上
・チームの安定による業務の効率化
つまり、「人が育ち、定着する職場」は、それだけで高い生産性を持つと言えるのです。
■ “働きがい”を育てるマネジメント
人が育つ職場には、「働きがい」があります。
それは給与や待遇だけでなく、「自分の意見が尊重される」「成長を実感できる」「チームに貢献できている」といった内面的な満足感です。
・目標設定や評価の仕組みを整える
・感謝や承認の文化を育てる
・意見を言いやすい風通しの良い職場づくり
こうしたマネジメントの工夫が、職員のモチベーションを高め、結果として現場全体の力を底上げします。
■ まとめ:“人づくり”こそが最大の投資
介護業界の生産性向上は、ICTや業務改善だけでなく、人を育てることが土台になります。
教育・定着・チームづくり――これらに丁寧に取り組むことが、結果として「辞めない職場」「支え合える現場」をつくり、持続可能なケアの実現につながります。
制度や技術の変化に対応するためにも、まずは“人づくり”から。
現場の未来を支えるのは、やはり「人の力」なのです。




