
「物価高騰」「猛暑・雪害」「災害」――。 介護現場を取り巻く環境は、年々厳しさを増しています。
こうした中、厚生労働省は令和7年度より、介護サービスの安定的な継続を支援する新たな補助金制度「サービス継続支援事業」を開始します。
本コラムでは、制度の背景や補助内容、対象経費、申請のポイントを、介護事業コンサルタントの視点からわかりやすく整理します。
■ なぜ今、サービス継続支援が必要なのか?
この制度の背景には、単なる物価高騰対策にとどまらない、「国民のいのちと暮らしを守る」という強いメッセージがあります。
・物価高騰による経営圧迫 特に食料費の高騰は、入所施設にとって死活問題です。
米や野菜などの価格変動により、「食事の質を維持できない」という声も聞かれます。
・気候変動による猛暑・雪害 訪問系・通所系サービスでは、過酷な気象条件下でもサービスを継続する必要があります。
職員の熱中症対策や車両の安全確保など、現場の負担は増す一方です。
・災害時の拠点機能 線状降水帯などによる災害時、介護施設が地域の避難拠点となるケースも想定されます。
備蓄や発電設備の整備は、もはや“備え”ではなく“必須”です。
■ 2つの支援の柱と補助率の違い
本事業は大きく2つの枠組みに分かれており、それぞれ補助率が異なります。
① サービス継続支援(補助率:3/4)
訪問・通所・入所系の事業所が、猛暑・雪害対策や災害備蓄品の整備を行う際に活用できます。
都道府県が1/4を負担し、国が3/4を補助する仕組みです。
② 食料費支援(補助率:10/10)
特養や老健などの施設が、食事の質を維持するための食料品購入に活用できます。
こちらは国が全額補助する、非常に手厚い支援です。
■ 対象経費と活用イメージ
厚労省は「都道府県が個別事情を勘案し、目的に沿えば柔軟に認める」としており、実務的な備品も幅広く対象となります。
🔹 訪問・通所系サービス
・燃料費・高速代
・ネッククーラー、冷感ポンチョ、熱中症対策ウォッチ
・スタッドレスタイヤ、チェーンなどの雪害対策用品
🔹 入所施設
・業務用スポットクーラー、加湿器、遮熱カーテン
・ポータブル発電機、蓄電池
- ・飲料水・食料品・衛生用品などの備蓄品
※「災害備蓄」と「サービス継続」の両方で申請可能(基準単価の範囲内)
■ 補助額の算定方法と基準単価
補助額は、「基準単価」または「実支出額」のいずれか低い方を基に算出されます。
🔸 訪問・通所系(例)
訪問介護:20万~50万円(訪問回数に応じて)
通所介護:20万~40万円(利用者数に応じて)
🔸 入所施設(例)
継続支援:定員1人あたり6,000円
食料費支援:定員1人あたり18,000円
※1,000円未満は切り捨て、1事業所1回限り
■ 申請・実績報告の流れと注意点
✅ 提出先:都道府県知事
同一県内の複数事業所は一括申請も可能です。
✅ 実績報告:
事業完了後1ヶ月以内、または令和8年4月10日までのいずれか早い日。
✅ 相談窓口:
厚生労働省の電話相談窓口(050-6875-3573)が設置されています。
■ 弊社からのアドバイス
・早めの準備がカギ:予算の範囲内での交付となるため、都道府県からの通知が出たらすぐに動けるよう、見積取得や対象経費の整理を進めましょう。
・重複受給に注意:他の補助金との重複は不可です。既存の補助制度との整合性も確認を。
・「これは対象になる?」は相談を:迷ったら都道府県に確認を。目的に沿っていれば柔軟に認められる可能性があります。
■ まとめ:制度を“使いこなす力”が、現場を守る
この補助金は、単なる経費支援ではなく、「どんな状況でも介護サービスを止めない」ための備えです。
制度を正しく理解し、的確に活用することが、現場の安心と利用者の暮らしを守る力になります。
変化の時代にこそ、制度を“知り”、そして“使いこなす”ことが、介護事業者に求められています。
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