
「ここに来るのが楽しみなんです」 そんな言葉を利用者からいただけるデイサービスは、地域にとってかけがえのない存在です。
しかし、少子高齢化やサービスの多様化が進む中で、「選ばれるデイサービス」であり続けることは、決して簡単なことではありません。
本稿では、利用者や家族が“通い続けたくなる”と感じる理由を紐解きながら、経営者・管理者が意識すべき視点や、ブランディング・情報発信の工夫について考えてみたいと思います。
■ 利用者・家族が感じる「通いたい理由」とは?
デイサービスを選ぶ際、利用者や家族は何を重視しているのでしょうか。
厚生労働省の調査や現場の声をもとに整理すると、以下のような要素が挙げられます。
・スタッフの対応が丁寧で親しみやすい
利用者にとって、毎日顔を合わせるスタッフの存在は非常に大きな意味を持ちます。
笑顔や声かけ、ちょっとした気遣いが「また来たい」と思える原動力になります。
・居心地のよい空間と雰囲気
施設の清潔感やインテリア、BGM、香りなど、五感に訴える要素も重要です。
特に認知症の方にとっては、安心できる環境が行動や感情に大きく影響します。
・食事やレクリエーションの満足度
「ここのご飯が美味しい」「毎回のレクが楽しみ」といった声は、通所継続の大きなモチベーションになります。
食事は“楽しみ”であり、レクは“生きがい”につながる要素です。
・送迎の安心感と柔軟性
送迎の時間が読める、運転が丁寧、乗り降りがスムーズ――こうした点も、家族にとっては安心材料となります。
送迎の質が、事業所全体の印象を左右することも少なくありません。
■ 経営視点で考える「選ばれる事業所」の条件
利用者満足を高めることはもちろん重要ですが、経営の視点からは「継続的に選ばれ続ける仕組みづくり」が求められます。
🔹 サービスの“強み”を明確にする
「うちは何が得意なのか」「どんな利用者に合っているのか」を明文化し、スタッフ間で共有することが大切です。
たとえば、「認知症ケアに強い」「リハビリに特化」「男性利用者が多い」など、特徴を明確にすることで、紹介元や家族にも伝わりやすくなります。
🔹 スタッフの“関係性づくり”を支援する
スタッフの接遇力やコミュニケーション力は、利用者満足に直結します。
定期的なロールプレイや事例共有、フィードバックの仕組みを通じて、チーム全体で「関係性の質」を高めていくことが重要です。
🔹 利用者の声を“見える化”する
アンケートやヒアリングを通じて、利用者や家族の声を定期的に集めましょう。
「何が喜ばれているのか」「どこに不満があるのか」を可視化することで、改善のヒントが得られます。
■ ブランディングと情報発信の工夫
どれだけ良いサービスを提供していても、それが伝わらなければ“選ばれる”ことはできません。
地域の中で存在感を高めるためには、ブランディングと情報発信が欠かせません。
🔸 ホームページやSNSの活用
施設の雰囲気やスタッフの人柄、日々の取り組みを写真や動画で発信することで、利用者や家族に安心感を与えることができます。
特にInstagramやFacebookは、地域のケアマネジャーや家族の目に留まりやすく、紹介にもつながりやすい媒体です。
🔸 地域との接点を増やす
地域のイベントへの参加や、地域包括支援センターとの連携、ボランティアの受け入れなどを通じて、地域に“顔の見える事業所”として根づいていくことが、長期的な信頼につながります。
🔸 ストーリーを伝える
「なぜこの事業所を立ち上げたのか」「どんな想いで運営しているのか」といったストーリーは、共感を生みます。 パ
ンフレットやWebサイトに代表者のメッセージを載せるだけでも、印象は大きく変わります。
■ まとめ:「通い続けたくなる理由」は、日々の積み重ねの中にある
選ばれるデイサービスには、特別な“魔法”があるわけではありません。
利用者や家族が「ここに通いたい」と思う理由は、日々の小さな積み重ねの中にあります。
スタッフの笑顔、安心できる空間、美味しい食事、丁寧な送迎―― それら一つひとつが、信頼と満足を育み、「通い続けたい」という気持ちにつながっていきます。
経営者・管理者としては、こうした“日常の価値”を見つめ直し、強みを磨き、地域に伝えていくことが求められます。
次回は、通所介護の“役割再定義”をテーマに、地域包括ケアの中での位置づけについて考えてみたいと思います。




