
■ はじめに:介護福祉士をめぐる“いま”をどう捉えるか
令和8年3月16日、社会福祉振興・試験センターより「第38回介護福祉士国家試験」の結果が公表されました。
今年度の合格率は 70.1%。近年は80%前後で推移していたことを考えると、前年度の78.3%から大きく落ち込んだ形です。
介護福祉士は、介護現場の専門性を支える中核資格。 その合格率が低下したという事実は、単なる数字の変動ではなく、介護人材の確保・育成・定着という大きなテーマに直結します。
本稿では、今年度の試験結果のポイントと背景、そして今後の介護現場に求められる視点について解説します。
■ 合格率70.1%──直近10年で2番目に低い水準
今年度の受験者数は 7万8469人 と前年度から約3000人増加し、2年連続の増加となりました。
一方で、合格者数は 5万4987人 と3年連続の減少。直近10年で最も少ない水準です。
受験者が増えているのに、合格者が減っている── このギャップは、現場の人材確保に影響を与える可能性があります。
■ 合格率低下の背景:新制度「パート合格」の影響か
今年度から導入されたのが、試験科目を3つに分割し、それぞれで合否を判定する 「パート合格」制度 です。
・Aパート:3935人
・Bパート:1509人
・Cパート:6181人
合格したパートは翌々年まで免除されるため、再受験者にとっては負担軽減となる一方、 初年度は制度変更に伴う難易度の体感差や学習戦略の変化が影響した可能性 があります。
制度が安定するまで、合格率の変動は続くかもしれません。
■ 受験者の8割以上が現場職員──幅広い年代が挑戦
受験資格別では、介護・障害福祉などの現場職員が 8割以上 を占めています。 年齢層も幅広く、
21〜30歳:28.6%
41〜50歳:21.8%
51〜60歳:19.9%
61歳以上:4.8%
と、まさに「現場の多様性」を反映した結果となっています。
■ 介護福祉士を増やすことは必要。しかし“もっと大事なこと”がある
今回の合格率低下を受けて、「介護福祉士を増やさなければ」という声が高まるかもしれません。
もちろん、専門性を持つ人材が増えることは現場にとって大きなプラスです。
しかし、ここで忘れてはならない視点があります。
資格者を増やすだけでは、介護現場の課題は解決しない。
本当に必要なのは、
介護職員の処遇改善
働き続けられる職場環境の整備
キャリアとして選ばれる魅力づくり
です。
いくら介護福祉士が増えても、 「給与が低い」「休めない」「成長実感がない」 といった環境が変わらなければ、離職は止まりません。
介護福祉士を増やすことは“手段”であり、介護職を魅力ある仕事にすることこそが“目的”です。
これは、国の処遇改善政策や補助金制度とも深く関わる重要な視点です。
■ 今後の介護現場に求められる視点
今回の試験結果から見えてくるのは、次の3つのポイントです。
① 資格取得支援の強化
制度変更に伴い、学習支援や研修の質がより重要になります。
② 処遇改善とキャリアパスの明確化
「資格を取っても待遇が変わらない」では、モチベーションは続きません。
③ 働き続けられる環境づくり
休暇制度、シフトの柔軟性、メンタルケアなど、現場の“土台”が問われます。
■ おわりに:資格者を増やすだけでは現場は変わらない
介護福祉士国家試験の合格率低下は、単なる数字の問題ではありません。
「介護の仕事をどう魅力あるものにしていくか」という本質的な問いを突きつけています。
処遇改善
職場環境の整備
キャリアとしての魅力づくり
これらを進めることで、資格者が“活躍し続けられる現場”が生まれます。
もし、制度の活用方法や職場改善の方向性に迷われている場合は、 専門家に相談することで、最適な選択肢が見えてきます。
介護現場の未来をつくるために、今できる一歩を一緒に考えていきましょう。
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