
2026年診療報酬改定では、訪問看護の中でも特に影響が大きいのが「同一建物居住者への訪問看護」に関する見直しです。
高齢者向け住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、同一建物への訪問が多いステーションにとって、今回の改定は運営戦略そのものを左右する重要テーマと言えます。
本稿では、新設される「包括型訪問看護療養費」や、訪問時間・算定要件の厳格化など、効率化と適正化の観点から大きく変わるポイントを整理します。
① 包括型訪問看護療養費の新設――“頻回訪問”への包括払い
今回の改定で最も注目されているのが、 「包括型訪問看護療養費」の新設です。
● 高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが対象
特に以下のようなケースで包括払いが適用されます。
・サ高住・有料老人ホームなどの居住者
・難病・重症者
・特別指示書が交付された利用者
・24時間体制で頻回訪問が必要な利用者
これまで回数ごとに算定していた訪問看護が、1日あたりの包括払いとなるため、 訪問回数が多いステーションほど影響が大きくなります。
● 経営への影響
・頻回訪問の収益構造が変わる
・訪問回数の最適化が求められる
・24時間体制の運営コストとのバランスが重要
包括化は効率化を促す一方で、 「必要な訪問を減らさないための体制づくり」が問われる改定です。
② 「同一建物」の定義が拡大――“同一敷地内”も対象に
これまで「同一建物」とされていなかったケースも、 今回の改定からは“同一敷地内の建物”が含まれるようになります。
● 影響が出るケース
・同一敷地内に複数棟がある高齢者住宅
・本館・別館が分かれている施設
・同一敷地内に複数の居住棟がある集合住宅
これにより、 同一建物扱いとなる利用者が増える=報酬体系が変わる というステーションも少なくありません。
③ 訪問時間の要件が厳格化――20分未満は算定不可
今回の改定では、訪問時間に関するルールが大きく変わります。
● 20分未満の訪問は算定不可
短時間訪問が多いステーションでは、 収益への影響が非常に大きいポイントです。
● 2時間未満の連続訪問は合算
前回訪問から2時間未満の間隔で 20〜30分未満の訪問を行った場合、 所要時間を合算して1回として扱うルールになります。
効率化を促す一方で、訪問スケジュールの組み直し、記録の精度向上、利用者説明の徹底 が求められます。
④ 加算の細分化・適正化――“取りやすさ”から“根拠重視”へ
同一建物居住者に対する加算が、 対象人数・頻度に応じて細分化・適正化されます。
対象となる加算の例:
・難病等複数回訪問加算
・夜間・早朝・深夜訪問看護加算
・複数名訪問看護加算
これまで「取りやすかった」加算も、 算定要件の明確化により取得ハードルが上がる可能性があります。
⑤ 経営者が押さえるべき“効率化”の視点
今回の改定は、単なる報酬の増減ではなく、 訪問看護ステーションの運営モデルそのものを見直す契機になります。
● 今から準備すべきポイント
・同一建物利用者の人数・訪問回数の棚卸し
・短時間訪問の割合の確認
・包括型訪問の対象者の把握
・訪問スケジュールの最適化
・加算取得状況の見直し
・記録の精度向上(訪問開始・終了時刻の記録義務化)
効率化と質の両立が求められる時代において、 「どこに時間を使い、どこを改善するか」が経営の鍵となります。
◆ まとめ
2026年診療報酬改定における同一建物訪問の見直しは、 訪問看護ステーションの運営に大きな影響を与える内容です。
・包括型訪問看護療養費の新設
・同一建物の定義拡大
・訪問時間要件の厳格化
・加算の細分化・適正化
これらの変化を正しく理解し、 効率化と質の両立を図る運営戦略が求められています。




