
令和8年2月10日、厚生労働省より、令和8年度の介護報酬改定および処遇改善加算に関する重要な事務連絡が発出されました。
本来、介護報酬改定は3年に1度のサイクルで行われますが、今回は「経済対策」を背景とした異例の「期中改定」が実施されます。
これに伴い、処遇改善計画書の提出期限が特例的に延長されるほか、訪問看護や居宅介護支援などが新たに加算対象となります。
本稿では、法人経営の視点から今回の変更点のポイントと、実務上の留意点を整理します。
1. 異例の「期中改定」が意味するもの
今回の改定は、令和5年11月に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」に基づくものです。
「他職種と遜色のない処遇改善」を実現するため、令和9年度の次期改定を待たず、令和8年度中に制度を動かすという政府の強い意志が反映されています。
経営者としては、この「賃上げ」の流れを確実に捉え、人材確保競争における優位性を維持する必要があります。
2. スケジュール管理:提出期限の「特例」に注意
実務上、最も重要かつ喫緊の変更点は、処遇改善計画書の提出期限です。
例年は2月末が期限ですが、今回は以下の通り特例措置が設けられました。
●原則(4・5月から算定):令和8年4月15日(水)
多くの事業所が該当します。
4月・5月分だけでなく、6月以降の新制度対応分も含めて提出が必要です。
●例外(6月以降のみ算定):令和8年6月15日(金)
今回新たに加算対象となるサービス(後述)のみを運営する法人が対象です。
3. 新たな収益機会:対象サービスの拡大(6月〜)
令和8年6月より、以下のサービスに処遇改善加算が新設されます。
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅介護支援(ケアマネジャー)
・介護予防支援
特に、居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションを運営する法人にとっては、職員処遇を抜本的に見直す好機です。
6月からの算定に向けたシミュレーションが急務となります。
4. 今後のアクションプラン
詳細な様式案や算定要件は、2月下旬に通知予定とされています。現時点で経営・管理サイドが準備すべきことは、以下の2点です。
1.対象事業所の洗い出し
特に新設加算の対象となる事業所を持つ場合、全社的な賃金規定の見直しが必要になる可能性があります。
2.情報収集体制の強化
2月下旬の通知を見逃さず、4月15日の提出期限に向けて迅速に動ける体制を整えてください。
まとめ:期中改定を“チャンス”に変える視点を
今回の「期中改定」は、制度上のイレギュラーであると同時に、処遇改善を戦略的に進めるチャンスでもあります。
提出期限の特例、対象サービスの拡大、そして制度の背景にある国の意図を正しく読み取り、経営判断と現場対応をスピーディーに連動させることが、今後の人材確保と組織の持続可能性に直結します。




